名古屋地方裁判所 平成3年(特わ)1696号 判決 1992年2月19日
本店所在地
名古屋市港区正保町七丁目九一番地
株式会社
安晃製作所
(右代表者取締役 中村敬三)
本籍
大阪市東住吉区北田辺五丁目一三九番地
住居
愛知県春日井市高森台二丁目三番地の一六
会社役員
中村敬三
昭和一〇年八月一六日生
主文
被告人株式会社安晃製作所を罰金一五〇〇万円に、被告人中村敬三を懲役一年に各処する。
被告人中村敬三に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(犯罪事実)
被告人株式会社安晃製作所(以下「被告会社」という。)は、名古屋市港区正保町七丁目九一番地に本店を置き、輸送用機器部品の製造を目的とする資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、被告人中村敬三(以下「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役として、その業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の材料費、外注加工費及び修繕費を計上するなどの方法により、所得の一部を秘匿したうえ、
第一 昭和六二年四月一日から昭和六三年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が、五八一二万五五二四円であり、これに対する法人税額が二三二七万四二〇〇円であるのに、同年五月三一日、名古屋市中川区尾頭橋一丁目七番一九号所在の所轄中川税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三二七一万六二円であり、これに対する法人税額が一〇一七万三〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、正規の法人税額との差額一三一〇万三九〇〇円を免れ、
第二 昭和六三年四月一日から平成元年年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が、八八八三万七九八〇円であり、これに対する法人税額が三五〇三万三七〇〇円であるのに、同年五月三一日、前記中川税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四二〇八万一三五四円であり、これに対する法人税額が一五四二万八二〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、正規の法人税額との差額一九六〇万五五〇〇円を免れ、
第三 平成元年四月一日から平成二年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が、九六三八万六二六円であり、これに対する法人税額が三六六五万三三〇〇円であるのに、同年五月三一日、前記中川税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二三九一万九五〇九円であり、これに対する法人税額が七六八万三九〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、正規の法人税額との差額二八九六万九四〇〇円を免れ
もって、いずれも不正の行為により、被告会社の法人税を免れたものである。
(証拠の標目)
全事実について
1 被告人の公判供述
2 被告人の検察官調書
3 大橋虔の検察官調書
4 丹羽繁雄、中村洋子の各大蔵事務官調書
5 検察事務官作成の捜査報告書(検察官証拠請求番号甲1)
6 検察官作成の捜査報告書(甲3)
7 大蔵事務官作成の査察官調査書(甲5、9、12)
8 登記簿謄本
第一事実について
6 植田守彦の大蔵事務官調書
7 検察事務官作成の捜査報告書(甲2)
8 大蔵事務官作成のの査察官調査書(甲7、8)
9 大蔵事務官作成の証明書(甲32、38)
第二事実について(番号6のほか)
10 田倉一美の大蔵事務官調書
11 大蔵事務官作成の査察官調査書(甲6、11、15、23)
12 大蔵事務官作成の証明書(甲33)
第三事実について(番号7、10、11のほか)
13 加藤昇の大蔵事務官調書
14 大蔵事務官作成の証明書(甲34)
(法令の適用)
一 罰条及び刑の選択(各事実とも) 被告会社
法人税法一六四条一項、一五九条一項、情状により同条二項
被告人
法人税法一五九条一項、懲役刑選択
二 併合罪の処理 被告会社
刑法四五条前段、四八条二項
被告人
刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い第三の罪の刑に法定加重)
三 刑の執行猶予 被告人
刑法二五条一項
(検察官 遠藤浩一、弁護人 田中清隆 出席)
(求刑 被告会社罰金二〇〇〇万円、被告人懲役一年)
(裁判官 半田靖史)